真珠のお手入れの基本


「着けおわったら拭く」という習慣

 アクセサリーを身に着けると、どうしても皮脂や汗、化粧品による汚れが付着することは避けられません。また、食事による食べ物の汚れが付くこともあります。これらの“汚れ”をほうっておくと、パールアクセサリーに致命的なダメージを与えます。

 

 パールはデリケートです。パールは、他の宝石とは違い、その構成成分におよそ3%のタンパク質を含みます。このタンパク質は、パール特有の色や輝きを左右する重要な役割を果たしています。タンパク質は一般に酸に弱く、酸性の汚れに接触している時間が長いと、変質してしまいます(色味や輝きの変質の原因となります)

 

 人間の皮膚は弱酸性とであり、汗も酸性です。夏場など、特に汗が多く出る季節は特に気を付けてお手入れしてください。

 

 身に着けたパールアクセサリーは必ず、乾いたシリコンクロスのような布などでよく拭いてからしまう習慣を心がけてください。眼鏡ふきなどでも構いませんが、きれいなものを使用しましょう。その際、薬品を付けたり、水でぬらす必要はありません。単純な作業で忘れがちですが、この簡単なお手入れでパールアクセサリーの傷みは、かなり防げます。

 


「個別に保管する」という習慣

 ダイヤモンドは地球上でもっとも硬い鉱物と言われます(硬度10)。それに対して指輪の枠に使用される18金やプラチナは硬度約4.5です。

 

 この“硬度”(モース硬度)は、宝石同士をこすり合わせ、傷のつきやすさを比べることで、傷のつきやすさを示した指標です(数字が低いほど柔らかい)。

 

 パールは硬度3であり、コハク(硬度2)と並んで非常に柔らかいジュエリーです。ですから、乱雑に扱ったり、他のアクセサリーと雑多に宝石箱にしまってしまうと、パールとそれより硬度の高い宝石や貴金属がこすれあい、目立つ傷が着く原因になります。こすれてできる傷は深刻で、修復はできません。

 

 パールアクセサリーを保管する際には、なるべく専用の宝石箱にきちんとしまってください。携帯して旅行に持ち運ぶ時も、個別にトラベルポーチにしまうなどの保管を実践しましょう。

 また、パールにはタンパク質が含まれるため、紫外線によりタンパク質が変質し、色や輝きが変質する可能性も避けなければなりません。保管場所は、高温多湿を避けた場所に、光を遮断するような宝石箱を使用すると良いです。